第60章 主と酒と
「珍しいな。レンもいるのか。」
「お疲れ様。次郎さん達に誘われてね。伽羅ちゃんは着替えるかい?」
「あぁ、そうだな。先に着替えてくる。」
話し声が聞こえ、そちらに目を向けると、丁度、大倶利伽羅が背を向けて去っていくところだった。
他に、獅子王、江雪、小夜も戻っていた。彼等は鶴丸と一緒に第一部隊で出た者達だ。
「僕も着替えたい。」
「では、お小夜。一度部屋へ戻りましょう。」
江雪は小夜を伴って部屋へと戻って行った。
「俺はこのまま呑もうかな。」
獅子王は部屋に戻らずそのまま呑むようだ。
アタシはそれを見て声を上げる。
「よし!呑もう!こっちこっち!」
アタシは隣の席の座布団をぽんぽん、と叩いて招く。
すると、獅子王は嬉しそうに近づき腰を下ろしたので、彼の前に徳利1本とお猪口を用意し、注いだ。
一緒に呑む相手が増えるのは素直に嬉しい。
「お疲れ〜!じゃ、無事の帰還を祝ってかんぱ〜い!」
アタシは掲げた盃を一気に呑み干した。
酒のいい香りが鼻腔を突き抜ける。
やっぱり、呑むなら大勢で呑まなきゃね!