• テキストサイズ

君に届くまで

第60章 主と酒と



ふと、帯に下がっている酒のことを思い出した。

そうだ。

「ねぇ!あんたも一杯やらないかい?アタシのを分けてやるよ。」

アタシは一升徳利を持ち上げて、少し振って見せる。
だが主は、徳利を見てからすっと目を逸らしてしまった。

「…いや、お酒は遠慮します。」

随分と嫌そうだこと…。

「そうかい…。」

好きな物を否定されたような気分だ。
自然と肩が下がってしまう。

だがまぁ、苦手なら仕方がない。

「ま、いいや!今後ともよろしく〜!」

アタシは気を取り直して立ち上がると、唯一の出入り口から外に出た。

さんさんと照る日差しが心地良い。

建物は華美じゃないが質素というわけでもない。

「…いいねぇ。」

アタシは一通り気が済むまで見て回った。


/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp