第59章 呼び名
「言ってみればいいんじゃないか?大将だったら否定はしないだろうさ。」
薬研はにやにやと笑いながら揶揄い半分で厚を促す。
「…他人事だと思って。」
「主様は快諾してくれると思いますよ?」
五虎退もにこにこと笑いながら口添えをする。
けれど、厚は踏ん切りがつかない。
「今更恥ずかしいっていうか…、なんていうか…。」
少し顔を赤くしてそっぽを向く。
「ははっ。確かに今更感はあるよね。」
乱が笑う。
「鶴さんも素直にお願いしてみたら?」
燭台切も穏やかに促す。
「なんかなぁ。厚の言う通り今更って気もするしな。な、貞坊。」
「だな…。なんか言いやすい雰囲気作れないかな。」
太鼓鐘も小さく息をついた。
「例えば?」
加州はその案に身を乗り出す。
「え、例えば?例えば…。なんだろう?」
「ないのか…。」
逆に太鼓鐘に問いかけられた鶴丸は少しがっかりする。
太鼓鐘ならひよっとして妙案があるかもと少し期待したのだが…。