第13章 薬研藤四郎の手入れ
昼から夜にかけても作業は終わらず、時刻は真夜中に差し掛かる。その間、何度か影分身も追加して資源集めと同時進行だった。
薬研の容態は漸く透明化が止まってきたところだ。本体である刀の傷も半分程は修復出来ただろうか。
「主様、資源持ってきました!」
「薬研はどうなりました!?」
五虎退と鳴狐が部屋に飛び込んできたその音でチャクラを練る感覚が霧散する。
チャクラもだいぶ使ってしまい、残りわずかだ。
「見ての通りです。少しだけ透明化が直ってきました。」
その言葉に2人はほっと息をつき、薬研の側に寄る。
その時、襖がすっと開き、燭台切が顔を出した。
「そろそろご飯にしよう。」
見ると、沢山のおにぎりを乗せた大皿を盆に乗せている。
燭台切が作ってくれたのだろう。
「うわーっ!ありがとうございます!」
「おいしそうでございますね。」
レンは一言、ありがとうございます、とお礼を言うと皆で燭台切の側に集まった。
「薬研君はどうだい?」
燭台切も気になっていた様だ。
「半分程は修復出来たと思います。まだ油断は出来ませんが、透明化は止まったと思いますよ。」
レンが答えると燭台切は安堵した様に微笑んだ。
こんなに人が良い人も珍しいな、とレンは思う。
自分の縁者でもないのに消えかかっている薬研を心配し、関わりたくないはずの自分の面倒まで見るのだから。
「レンちゃんは、ちゃんと休んでるかい?」
いやはや、体調まで心配するのかと、レンはなんだか呆れるやら可笑しいやらで、僅かに笑みが零れる。
その様子に3人はおにぎりを食べる手が止まり、レンを見て目を瞠る。
レンが笑ったところを初めて見たのだ。