第13章 薬研藤四郎の手入れ
レンは首飾りを身に付けてみると、周りの空気が変わった。
不思議に思い見回すが、固唾を飲んで見守る燭台切達がいるだけで、様子が変わったところがない。
自分が変化したのだろうか。
レンは手元の短刀に視線を移し、触れてみる。
今度はわかった。
この間にも漏れ出て霧散する命の息吹。
かろうじて繋ぎ止めているのだと見て分かった。
更に傷口に触れてみるとよく分かる。
何をどうすればいいか、どうやったら傷を塞げるのか。
試しにレンは思うがままに玉鋼を手に取り刀の側に置くと、そっとチャクラを手の平に集めてみる。
チャクラが傷口から全体に行き渡るようイメージをして手の平を短刀に当てる。
今度は手応えがあった。
成程、玉鋼を練り込んでいる感覚がある。
やがてチャクラを使う感覚がすっと消える。
見るとそこに置いてあった玉鋼は消えていた。
「出来ますね。おそらくこの感覚が手入れでしょう。」
レンそう言うと、一同はほっとした様に体の力を抜いた。
「ただ、これでは資材の量は足りないと思います。五虎退、鳴狐、頼めますか?」
「はい!」
「わたくし達にお任せあれ!」
「既に転移装置には先程の影分身が待機しているはずです。準備ができ次第行ってください。」