第58章 鶴丸の願い
「やっぱり、出たいだけなんだろ!」
加州の突っ込みにレンは小さく舌打ちをした。
「何がいけないんですか。少し本丸を空けるだけじゃないですか。」
「急に連絡したい時は?」
厚が聞く。
「こんのすけを通したらいいんじゃないですか?」
「こんのすけだって居場所を掴めなかったら?」
乱が聞く。
「なら、1日1回居場所を伝えて明らかにするのはどうですか?」
「…だから何で出て行く前提なんだよ。」
大和守は疲れたように肩を落とした。
「よし。じゃあ、俺が付き添う。」
「いや、結構です。一人旅を希望します。」
薬研の案を、レンは即答で断る。
「あ、僕パフェ作るけどどう?」
燭台切が餌で釣る。
「魅力的な提案ですが、それには乗りません。」
「あんみつはどう?」
「現地で買います。」
とりつく島もない。
「みっちゃんのパフェ凝るだろうから買うよりうまいかもよ。」
太鼓鐘の言葉を聞き、レンは燭台切が作ったパフェを思い浮かべる。
瑞々しい沢山の果物にサクサクのクッキー。
可愛く飾られたホイップクリームに冷たく甘いアイスクリーム。
心が揺れる。
が、ぶるぶると頭を振ると誘惑を振り切った。
「絶対、一人旅するんです!」
「やっぱり目的は旅満喫じゃんか!」
加州は即刻突っ込んだ。