第58章 鶴丸の願い
「さて、私から提案があります。」
「「「「「却下!!!」」」」」
レンは切り出すも、全員から即答される。
「…まだ何も言ってませんよ。」
「あんたが提案なんてロクでもないことに決まってる!」
加州が襟首掴みそうな勢いでレンに駆け寄った。
「…言うだけ言ってみろ。」
大倶利伽羅は頭が痛いとばかりに片手で頭を抱えた。
「三日月さんは人間の私がいるのを嫌がります。
そこで私は2、3ヶ月程、本丸を空けますので、その間に三日月さんには本丸に慣れてもらうんです。」
「聞くまでもなく却下だよ。どこに本丸を空けたがる審神者がいるんだよ!」
大和守も堪らずレンに駆け寄った。
「ここに居ます。」
レンは手を上げて答え、それを見た加州は頭を抱え、声にならない声を上げる。
「だぁぁぁぁ!そういうことじゃない!」
「まぁまぁ、落ち着いて。」
「あんたが言うな!」
平然と加州を宥めるレンに、彼は益々苛立ちを募らせていく。
それを隣で見ていた大和守は呆れ返った。
三日月は唖然としながらその様子を見ている。
「何も本丸を開ける必要はないんじゃない?」
加州を見かねて、燭台切が助け舟を出しながらレンの側に寄る。
それを見ていた他の面々もレンの側に寄った。
「そうですか?嫌いな人が同じ敷地にいるって思うだけで嫌なものだと思いますよ。」
「なら、三日月とレンの寝屋の配置を対角線上の端と端にしたらどうだ?」
獅子王は出て行く代わりの案を出す。
「それでも敏感になっている時って気になって落ちつかなくなるんじゃないですかね。」
「…如何にも正論を言っているがお前にその感覚分かるのか?」
大倶利伽羅は半眼でレンを見据える。
「…分かりますよ、勿論。」
それに対して、微妙に視線をずらしながらレンは答えた。