第58章 鶴丸の願い
「さて、レン。俺は何をすればいい?」
「手当て…、手入れするような感覚でやってみてください。
折れた柄の再生、それから刀身の再生をイメージして。」
「わかった。」
鶴丸はレンがやっていたのを思い出し、柄に手を当てた。
「いきます。」
レンは鶴丸に神気を流し始めた。
レン自身も三日月の再生を願い、イメージして。
すると、柄に触れていた鶴丸の手から人の温もりのような、息吹のような感触が伝わる。
「…これは…。」
不思議な感覚だった。
刀なのに、生き物のような生命力を感じるのだ。
「何か掴めました?」
「あぁ…。人の息吹のようなものを感じる…。」
「たぶん、それで合ってます。玉鋼と結びつけることが出来ますか?」
鶴丸は柄が再生された状態を思い浮かべながら、レンから受けた神気を流していくイメージをする。
「埋まった…?」
僅かだが、三日月の柄が再生されたように思う。
「私の時より手応えありそうですね。続けてください。」
レンは、更に神経を集中させて神気を流す。
鶴丸も神経を研ぎ澄まし、強く再生を願う。