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君に届くまで

第13章 薬研藤四郎の手入れ


それはともかくとして、初代審神者はどうやって治していただろうと思い出す。

「確か…刀に手を当てて、何か呪文のようなものを唱えていて…」

一度だけその時に聞いたことがあった。何をしているのか、と。そしたら…、

「気を…送り込んでるんだって言ってた。気を送り込んで刀の素材である玉鋼を練り込んでいるんだって。」

「気、ですか。」

気ってなんだろう。チャクラみたいなものだろうか。
もう一度刀に触れ、チャクラを少し練り、その塊を譲り渡す様にイメージしてみる。
だが、上手くいかない。

「…駄目かい?」

「駄目ですね。チャクラを使っている感覚がありません。」

燭台切は少し焦り始める。これは感覚を掴むまでに時間を要しそうだ、と。

その時、後ろから声がかかる。

「おや、本日は皆さまこちらにお集まりですか。」

こんのすけが現れた。






こんのすけに薬研の容体を見せ、レンが手入れの感覚を掴めないでいることを話すと、こんのすけは顔を硬らせたまま小さく息を吐き出した。

「とうとうその日が来てしまいましたか…。」

そう言うと、目を瞑る。次いでこんのすけの前に淡い光の塊が現れて、光が消えると首飾りらしきものが現れた。

「これをお使いください。」

レンはそれを手に取ってみる。
三角と逆三角を重ね合わせた不思議な星形で、手にすっぽり収まる大きさだ。
中央の六角形の中には、丸く縁取られたガラスが埋め込まれていて、薄ら丸い不思議な絵が刻まれている。
いや、ガラスじゃないかもしれない。これは…、

「水晶?」

「左様です。これは陰陽の力を司る力を引き出す道具にございます。これを身につければおそらく手入れは出来るかと。」

「この水晶に刻まれた絵って何ですか?」

「これは太陰太極図といって、森羅万象全てのものは陰と陽から成り立っているという意味を持ちます。手入れは陰陽を読み解き、陰のものを陽に傾ける作業と言えましょう。」
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