第58章 鶴丸の願い
『あ!てめぇ!送ってんじゃねぇ!』
受話器の向こうから、あははは、という笑い声と共にバシっと叩く音が聞こえてきた。
おそらく空斗が叩かれたのだろう。
『ったく!…おい!今度こっちに来た時は俺にも声かけろよ!じゃあな!』
海斗は言うだけ言って去って行ったらしい。
『もしもし。まぁそういうことらしい。』
再び、空斗に切り替わった。
「つまり、遊びに来いよ、ってこと?」
加州が要約する。
『たぶんな。まぁ、気軽に立ち寄れ。
あ、くれぐれも問題起こすんじゃねぇぞ、レン。じゃあな。』
空斗も言いたいことだけ言って電話を切ってしまった。
「嵐が去った後みたいですね。」
レンは感じたままを言い、彼等は苦笑した。
その番組ではそれ以上取り沙汰されることはなく、静かに終わり、別の話題へと切り替わる。