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君に届くまで

第58章 鶴丸の願い



『よぉ、テロリスト。元気か?』

「誰ですか?」

レンは即答で不審そうに返した。
自分をテロリストと呼ぶ人には会ったことはない。

『忘れたとは言わせねぇぞ!国会で俺の顔に落書きしやがっただろ!!』

怒鳴り返され、レンは記憶を辿る。

国会、顔に落書き…

「あぁ…。」

思い出し、レンは鶴丸にスマホをそっと手渡した。

「なんだ?」

鶴丸は、不思議そうに首を傾げる。

「鶴丸さんに電話です。」

『お前が命令したんだろうが!』

受話器越しでも聞こえる程の大音量で、相手が怒鳴り散らしているのが分かる。
鶴丸はスピーカーモードに切り替え、電話に向かって問いかける。

「誰なんだ?」

『お前等が顔に落書きした奴だよ!!』

彼はすぐに合点がいき、大笑いする。

「あははは!傑作だったろう?」

「あぁ、あの人か!顔は覚えてないけど、落書きした顔なら覚えてる!」

加州も笑いながら言った。
彼等に釣られて、そこにいた刀剣達もくすくすと笑みをこぼす。

『自慢が聞きたいわけじゃねぇ!一言文句が言いたいんだよ!』

名前は確か…、瀬戸海斗、だったか。
成程。名前もさることながら、口調や気性がよく似ている。

「兄弟だったんですね。」

『そうだよ!これを兄貴に見られた時の俺の気持ちが分かるか!?』

受話器の向こうで吹き出し笑いの音が小さく聞こえて来た。

『クソ兄貴!笑ってんじゃねぇ!』

ピロリン。

メールの着信音が鳴り、電話を繋いだままメールを開いてみると、空斗からだった。
開けると、そこにはデカデカと件の落書きの写真が添付されている。

「「「あははは!!!」」」

ある者は大笑いし、ある者は遠慮しつつも肩を揺らして笑いを堪える。
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