第57章 宴
その中に手記があり読み進めていくと、大体の事情が読めてきた。
氷室一族は、近年衰退の一途を辿っていたが、ある時強大な力を持つ赤子が誕生したとあった。
氷室一族はその子の誕生を大いに喜んだようだが、霧隠れにとっては目障りとなったらしい。その子を理由に攻め滅ぼされたと推察できた。
その子の生まれた年月と私の年齢は程近い。
まさか、と思わずにはいられなかった。
確証はなかったが、直感のような確信はあった。
疫病神。
ふと、そんな言葉が脳裏を過った。
ここでも私は疫病神でしかないのか、と苦い思いが込み上げた。
どこにも居場所がないと悟った。