第57章 宴
レンに気づかれないように十分な距離を取りつつ後をつけていると、彼女はやはり厠とは全く違う方向にどんどん歩いていく。
やがてレンは東家のような建物に入ると、長椅子に座り、欄干に頭を乗せて動かなくなった。
「どうしたんだろう…?」
乱がぽつりと呟く。
「さぁな…。もしかすると、さっきの戦闘でのことがまだ尾を引いてるのかもな…。」
薬研もぽつりと呟いた。
『気に入らないから、かな。』
薬研は眉を顰めて言ったレンを思い出す。
あの時は、怒ってるんだとばかり思っていたが、本当は違うのだろうか?
「もっと近づいてみようか。」
乱が言い、薬研は頷いた。
2人は足音を忍ばせながらレンに近づいて行った。