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君に届くまで

第57章 宴






疫病神…!!


レンの脳裏に誰かの声が木霊する。




鯰尾とは和解し、再びはじまった宴。
楽しい筈のその場所で、レンはぼんやりと食べ進める。
先程とは打って変わった様子に、レンの刀剣達はちらちらと彼女を見る。

「レン…?どうしたの?」

「え?」

乱がそろりと聞くと、レンはぼんやりしたまま乱を振り向いた。
乱は益々心配そうにレンを覗き込む。

「大丈夫?やっぱりどこか怪我してるんじゃない?」

「いや、大丈夫です。怪我一つ負っていません。」

レンは、また病院は敵わないと目を逸らしながら答える。
乱はそれを半眼で見ながらため息をつく。

「じゃあ、どうしたのさ。ぼんやりしちゃって。」

まだ皿によそった半分も食べていない。
レンも手元の皿を困ったように見ると、徐に机の上に置き席を立つ。

「どこ行くんだ?」

薬研がレンに尋ねると、レンは益々困ったように頬を掻いた。

「あー…、ちょっとトイレに…。」

小さな声で呟くと、そそくさと広間を後にする。
薬研と乱は顔を見合わせた。

「…嘘くさいな。」

「だね…。」

2人は頷き合うと、自分達も食事を中断し、レンの後を追った。

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