第57章 宴
「一兄はどう思ってるんだ?」
「一兄も満更じゃないかんじ?」
薬研と乱が楽しそうに話を膨らまそうと問いかけた時、
ダン!!
テーブルを勢いよく叩く音が響き、途端に静寂が広がった。
「いい加減にしてくれないか?」
鯰尾だった。
「勘違いしないでください。あなた方はあくまで居候に過ぎません。明確な線引きは守ってもらいたい。」
「そんな言い方…」
「レンさんは我が主を危険に晒しました。それでいい感情が持てると思いますか?」
乱が抗議しようとするのを鯰尾は遮った。
「けどそれは…」
「レンさんも命がけで助けたからおあいこだ、とでも言うつもりですか?」
鯰尾は乱の言葉を聞くことなく、大きく息をついた。
「はっきり言わせてもらいます。俺はレンさんがここにいることを良く思っていません。」
鯰尾はレンに向けて言うも、レンは特別何の感情も示さない。
「そうですか。」
淡々と答えたレンを刀剣達は、ハラハラした様子で見守る。
鯰尾はレンを怪訝な目で見遣った。
「…納得してくれたならここから出て行ってくれますか?」
鯰尾の言葉に、レンの刀剣達の間に苛立ちとざわつきが広がる。
「と、言われてもねぇ…。みんなで帰る場所はまだ修繕中ですし。滞在許可なら、七海さんからちゃんともらってますよ?」
レンは意に介さずのらりくらりと返した。
だが、鯰尾にはそれがまた気に入らない。
「知っていますよ。けれど俺はあなたが目障りなんですよ。」
「なら…、出会さなくて済むように極力ここにいる時間を短くしますよ?」
レンの提案に鯰尾は眉を顰めた。