第57章 宴
「そういう問題じゃない。俺はあなたが七海さんと関わりを持っていることが気に入らないんだ。
あなたに関わらなければ七海さんが危ない目に遭うこともなかった。昔のことで引っ掻き回されることもなかった。
あなたはまるで疫病神だ。七海さんにとって良くないことばかり引き寄せる。」
鯰尾の言葉に、それまで何の感情も示さなかったレンがピクリと反応する。
ー疫病神、か…。久々に聞いたな。
レンは大きくため息をついた。
「けれど、こちらも今出て行くわけには行かないんですよ。知ってるでしょう?」
「それ、俺達に関係ありませんよね。」
まるで平行線だ。
「黙って聞いてれば!レンが言い返さないからって…」
加州が喰ってかかろうとするのを、レンは手で制しながら遮る。
「…まぁ。確かにあなたには関係ありませんよね。私達がここに置いてもらってるのは七海さんのご厚意ですし。」
「なら…」
「なので。賭けをしませんか?」
レンはニヤリと嗤う。
鯰尾はそれを見て、嫌そうに顔を顰めた。
「…どういうことですか?」
「大したことはしませんよ。単純に模擬試合をするようなものです。勝負してあなたが勝ったらお望み通りここを出ていきます。」
「ちょっ…!」
乱は焦ったようにレンの方を振り向いた。
「私が勝ったら現状維持で。どうです?悪い話じゃないでしょう?」
「レン!」
「大将!あんた本気か!?」
乱と薬研は焦ったようにレンに詰め寄った。
「…いいですよ。その賭け、乗ります。」
「賭けの戦闘なんで、剣は使わずに木刀でいいですよね?」
レンはすかさず武器を指定する。