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君に届くまで

第57章 宴



早速受け皿を空にしてから、次のご馳走に目を走らせる。
生春巻きのサラダに骨つき肉のソテー、手毬寿司、ゼリー、プリン…。
これだけあると、さすがに目移りする。

ふと、正面の一期一振に目を向ける。
彼は両隣りの弟の世話をしつつ、楽しそうに食事をしていた。
レンは、まじまじと彼を見る。

最近どこかで似た人を見なかっただろうか…。

優しげで端整な顔立ちに、特徴的な明るい緑の髪。
これ程目印があるのに、どこで見たのか思い出せない。

「…どうしたの?レン。」

横から乱が怪訝な顔でレンを覗き込む。

「いや…。あの人、最近どこかで…。」

「あの人って、一兄のこと?」

「はい…。」

乱の問いに、レンは首を傾げながら返す。

「…まさかとは思うが。大将、一兄を気に入ったのか?」

反対側から薬研が少し笑いながら茶化す。

「え!?そうなの!?」

それを聞いた乱が、嬉しそうに満面の笑みでレンに詰め寄った。
乱の大声に、周りにいた刀剣達が、なんだなんだと振り向く。
それを見たレンは、少し嫌そうにしながら薬研を見た後、乱を落ち着かせる。

「…ちょっと、何を言っているのか分からないです。
私はただ、どこかで見たことあるような気がして見ていただけです。」

「どこかで、って。ここに来てから見たんじゃないの?」

乱は不可思議そうに首を傾げた。

「いや…。たぶんそれ以前に見たことあるような気がして。どこだったかな…。」

レンは、一番手前にあったプリンと手毬寿司を取り皿に乗せながら思い耽る。

「なになに?レンがどうしたの?」

薬研の隣に座っていた加州が尋ねると、薬研はにっと笑いながら答えた。

「レンがどうも一兄を気に入ったみたいなんだ。」

「え゛…。どういうこと?」

加州は、ぼんやり手元を見ながら箸を進めているレンを見遣った。
乱は今し方レンの事情を聞いたばかりな為、微妙な表情を浮かべてレンと薬研を見比べる。
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