第13章 薬研藤四郎の手入れ
数日後の昼下がり。
いつもの様に休憩時間にぶらぶらと散策していると、五虎退のレンを呼ぶ声が聞こえて来た。何だか焦っている様だ。
「主様!どこですか!?」
「ここです、五虎退。何かあったんですか?」
「主様!兄さんが、兄さんが…!消えかかっています!助けてください!」
レンは急いで五虎退達の部屋に向かった。
部屋の奥に行くと、薬研だという少年が布団に寝かされている。短い黒髪の肌の白い少年だった。
成程、薄ら透けて枕が見えている。
「こんのすけを呼びたい所ですが、探している時間はない様ですね。」
「どうしましょう…!」
五虎退は涙ぐみながらレンに尋ねる。
「乱はどうしました?」
「怪我が酷くて寝ています。怪我が深い程、眠っている時間が長くなるんです。」
「…鳴狐はどこに居ます?」
「主様を探しに…。あ、戻って来ました。」
足音を響かせ、鳴狐が走って戻ってきた。
「居たのですね。薬研が消えかかって…」
最後まで説明を聞かず、レンは答える。
「はい、今見ました。
とりあえず、今ある資材を使って治してみようと思うのですが。
これで資材は足りるのでしょうか?
あと、手入れの方法を知っていますか?」
「何とも言えませんね…。わたくし達も手入れをされた事がないもので…。」
「燭台切を呼びましょう。彼なら何か知ってるかもしれません。」
3人は頷きあって燭台切の部屋にかけていった。