第57章 宴
「これ、運んでくれ。」
「座布団足りないよ?」
「あ、あそこの空き部屋にあったかも。」
「机もあと一つはほしいよね。」
「小皿持ってった?」
「やべっ!もうないぞ。紙皿ってあったか?」
「あ、こら〜!つまみ食い厳禁!!」
「へっへ〜んだ!食ったもん勝ちよ!」
「国行〜。少しは手伝おうよ。」
「やる気せーへんのです。邪魔はせんさかい、堪忍しておくれやす。」
「…害にはならないが利にもならないな…。」
…何人いるんだろう、これ。
レンは並べられたご馳走に呆気に取られつつ、慌ただしく準備をする彼等を見て、呆然としてしまう。
連れてこられたのは、レンがかつて間借りしていたあの大広間とほぼ同程度の大広間だった。
一人でいた時は、あれ程だだっ広く感じていた広間が、まるで手狭に見える。
これだけ人が増えるのならば、この広さも納得である。
「レンちゃん、おかえり。」
声をかけられ振り向くと、燭台切が立っていた。
「……?…さっきまで一緒にいましたよね?」
レンが不思議そうに返すと、後ろからポンと両肩を叩かれた。
「僕はこっちだよ。」
え?と思って振り仰ぐと、同じ顔が楽しそうにレンを覗き込む。
「僕は七海さんとこの刀剣だよ。」
目の前の燭台切は、少し困ったように笑う。