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君に届くまで

第57章 宴



ーー翌日ーー


燭台切と大倶利伽羅に手伝ってもらい、何とか午前中には病院を出ることが出来た。
レン達は、どこに寄ることもなく真っ直ぐ七海の本丸に向かう。



「戻りました。」

レンが七海の部屋にひょっこり顔を出すと、七海は書類作成の真っ最中だった。

「あら、意外にかかったわね。何かあったの?」

「いや、荷物が多すぎて。選別や詰め込みが大変だったんですよ。」

「そう言われてみれば、かなり増えてたわね。」

七海は行く度に何かしら物が増えている部屋を思い出す。

「私一人では整理するのは限界でして。燭台切達が来てからのスタートになったんで、時間がかかりました。」

レンは、午前中に間に合ってよかった、とぼやき、七海は苦笑する。

「お疲れ様。部屋に行って休んできたら?あの子達が首を長くして待ってるわよ。」

「そうします。明日は朝からここに来ればいいですか?」

「そうね。色々と仕事や呪術の類を教えたいから。明日から忙しくなるわよ。」

「お手柔らかにお願いします。」

レンは、そう言って部屋を後にした。











「戻りま…」
「おっかえり〜!!!」

「そして、出かけよう!!!」

レンは戻りの挨拶を遮られ、部屋に入ることなく乱と厚に手を引かれる。

「え、ちょ、なになに?」

さて荷物の整理を、と思っていたのだが、どうやら今日は出来ないらしい。
乱と厚は気分上々の様子で、ずんずん歩いていく。
せめて行き先を聞こうと、レンは口を開く。

「どこ行くんですか?」

「楽しい所!」

乱が答える。
が、そういうことが聞きたいんじゃない。

「…場所は?」

「すぐそこだ。」

厚が答える。
いや、具体的にどこなのか聞きたい。

「…わかるように言ってくれません?」

「「ついてからのお楽しみ!」」

レンは話が通じない状況に、早々と匙を投げた。

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