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君に届くまで

第57章 宴



「確か全治2ヶ月って聞いてたんだけど…。」

「俺も。」

「人より治るのが早いそうです。折角来てもらったのにすみません。」

佐々木と新田の唖然とした呟きに答えながら、レンは貰ったお土産袋の中身を確かめる。
梨、バナナ、オレンジ、柿、蜜柑、林檎。
レンが好む果物がごろごろと入っていた。

早速、蜜柑を一つ手に取り皮を剥く。
瑞々しく甘い果汁に、爽やかな香り。癖になりそうだ。

「気に入ったみたいで良かったよ。」

「デパ地下の生鮮食品だからな。間違い無いだろ?」

お土産を持ってきた2人は笑う。

「はい、美味しいです。ありがとうございます。」

黙々と食べるその横で、薬研が客人に飲み物を出す。

普通は逆である。
接待するのはレンで、接待されるのが薬研な筈だ。

佐々木と新田は、飲み物を受け取りながら苦笑する。
薬研はその様子を正確に読み取って、にかっと笑った。

「これも審神者のお世話の内、ってね。」

「大変だな…、刀剣って…。」

新田は心の底から刀剣じゃなくて良かったと思うのだった。
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