第57章 宴
「そのドッペルゲンガーの話。俺もさっき見たぞ。」
「見間違いじゃないですか?私はここにいますよ?」
瀬戸の問いに、レンはすぅーっと視線を逸らして空惚ける。
「いや、あれは見間違いじゃないな。あれ、分身だろう?お前、院内で何やってんだよ。」
瀬戸は呆れ半分怒り半分をレンにぶつけるも、レンの態度は変わらない。
「けれど、騒ぎにはなってないですよ?」
「当たり前だ、バカタレが。本当に分身だと知れたら大騒ぎだ。頼むから、大人しく養生しろ。」
瀬戸はそう言って頭を抱える。
「今日で終わりですけどね。」
しれっと答えるレンに、瀬戸は思わず襟首を掴みかかって揺さぶった。
「お〜ま〜え〜な〜!2ヶ月くらい我慢できねぇのか!?」
その時、ガラガラとドアが開き、鶴丸と薬研が顔を出した。
「まーたレンがやらかしたのか?」
「よぉ、大将。大人しくしてるか?」
「お邪魔します。」
「見舞い持ってきたぞ。」
苦笑しながら入ってきた鶴丸と薬研に続いて、佐々木と新田が入ってきた。
「あ、いらっしゃい。」
レンは瀬戸に襟首を掴まれたまま、鶴丸達の方を振り向いた。
瀬戸はため息をつきながら渋々離す。
「元気そうだね。」
「とても怪我人とは思えないな。」
佐々木と新田は笑う。
「まぁ、明日退院なので。」
「「はやっ!」」
2人は驚いた。
鶴丸と薬研はほっと胸を撫で下ろした。
これで憂いなくレンを迎え入れることが出来る。