第57章 宴

「あ、そうそう。あなたへの処遇は当分の間、審神者見習いとするそうよ。事実上の降格ね。」

「そうなんですか。」

七海が、どこか不満そうに言うのをちらりと見ながら、レンは剥いてもらった林檎をシャクシャクと食べる。

「…随分と他人事ね。私が言うのもなんだけと、ショックじゃないの？」

七海は怪訝な様子で尋ねるも、無理をしている様子もなければ、気にしている様子もない。

「別段何も思いませんよ。元々は、審神者になりたいからなった訳ではないですし。」

それを聞いて逆にショックを受けたのは大和守だった。

「…え？レン、審神者嫌なの？」

「嫌では無いです。
う〜ん…、何て言ったらいいかな…。
審神者になったのは必要だから。好きとか嫌いとかは別として。
だから、みんなで一緒にいられれば役割はなんだっていいんです。」

それを聞いて加州と大和守はにんまりと笑う。
レンの目的はあくまで皆と一緒にいること。それがよく伝わったからだ。
些末なことに拘らないレンらしい答えだと、2人は思う。

「…嬉しそうね。」

七海は加州と大和守を複雑な様子で見遣る。

「「うちの子最高でしょ？」」

2人は同時に言いながら、鼻高々に胸を張った。