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君に届くまで

第57章 宴



ここは、とある病院の個室だ。

肋骨骨折を聞いた瀬戸は、有無を言わさずレンを総合病院に放り込み、即入院となった。
手術や治療までは素直に受けたものの、そこからレンのワガママが始まった。
とにかく、暇を嫌がり、折を見ては退院をせがんだ。

「よぉ。しっかり寝てるか?」

「…けっ。」

見舞いに来た瀬戸を見るなり、レンはそっぽを向いて悪態をついた。

「荒れてんな。」

瀬戸は、やさぐれているレンを見て正しく状況を把握する。

「早くここから出してください。」

「断る。俺が資金を出してんだから大人しく従ってろ。」

レンのダメ元での嘆願に即刻否を突きつけ、瀬戸は空いている一人掛けソファーに座った。

「だいたいな、そんな大怪我負っておいて本丸に帰ろうと思う馬鹿はいねぇんだよ。ったく。」

レンはそれを聞いて、嫌そうな顔をした。
瀬戸は、差し入れの袋を目の前のテーブルに置くと、加州達を見た。

「今日もお前等だけか?」

「そうだよ。みんなも来たがったんだけど、服がなくてさ。取り敢えず、今日買い出しに行ってるよ。」

「藤崎さんに中々会えなくて…。それで換金が遅くなっちゃったんだよね。昨日やっと換金出来たから、鶴丸と大倶利伽羅が佐々木さんとこのお店に行けたんだ。」

加州と大和守が説明した。
レンは、佐々木と聞いて新田を思い出す。

「そう言えば新田さんはどうなりました?脅されてたみたいなんですけど。」

「あぁ。お前の言ってた通り、銃で脅されてたから叔父さんから解放するよう命令を出してもらった。
それからな、情報提供の功労を認めてもらってお咎め無しで落ち着いたぞ。」

「そうですか、よかったです。」

レンは言いながら内心胸を撫で下ろす。
恩ある人が割を食うのは後味が悪いものだ。そうはならなくて一安心である。
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