第57章 宴
「暇です。」
「ダメでーす。」
「治ったんで帰っていいですか?」
「ダメだったら。治ってないじゃん。」
「暇過ぎです。本丸にいても変わらないじゃないですか。」
「…レンってこんなワガママだったっけ…?」
見舞いに来た加州と大和守は、口を開けば帰りたいと言い出すレンに頭を抱えていた。
「全治2ヶ月なんだから。しっかり治してよ。」
「そうそう。それに前の刺し傷だって完治してるとは言えないんだから。そっちもついでにしっかり治さなきゃ。」
加州と大和守はレンに言い聞かせる。
それを聞いてレンは口を尖らせてため息をついた。
「大袈裟な…。怪我なんてほっとけば治るんですから治療するまでもないんですよ。」
「だから、ダメだってば。」
堂々巡りに加州は思わず半眼になる。
「あ、そうそう。燭台切からの伝言だよ。”しっかり治しておいで。2ヶ月頑張ったらとびっきりのご馳走作ってあげるから。”だって。よかったじゃん。」
大和守はにこにこと笑うが、レンの顔は口を尖らせたままだ。
「…修行したい…。」
「…退院してから好きなだけやりなよ。」
レンの呟きに、加州は呆れ返った。