• テキストサイズ

君に届くまで

第56章 七海の奪還



「止めなさい!!」

瀬戸補佐官は衝撃から立ち直り、レンの肩を掴んだ。
レンは声の主を振り返る。

「私にお前達の決まりが当て嵌められると思うな。私は私の信念の下に動く。」

レンはギロリと奥脇と江藤を見下ろす。
2人は恐怖で竦み上がった。

「私はお前達に本丸を焼かれたこと、殺されかけたことを忘れない。こんのすけにした仕打ちを忘れない。
七海を殺しかけたこと。鶴丸達を罠に嵌めようとしたことを忘れない。」

そう言ってから、瀬戸補佐官を横目で見遣る。

「やられたらやり返すのが私の流儀だ。誰に指図される謂れはない。」

「殺しだろうがなんだろうが、か?」

瀬戸も衝撃から立ち直り、レンに詰め寄る。

「当たり前だろう。殺意を向けられたなら、殺られる前に殺らなければこちらが被害を被るんだ。一々待ってなどいられるか。」

言い表せないほどの冷たく昏い瞳でレンは言う。
恐怖を通り越した悍ましさを感じる。

レンは再び、奥脇と江藤を見下ろした。

「よく覚えとくんだな。私は元来短気なんだ。これ以上やるなら今すぐお前等の大事なものを粉々にしてやる。」

心臓を握りつぶされたかと思うくらいの圧を感じ、2人はガタガタと震え出す。

「どうしたい。」

「止めないか!」

レンは瀬戸補佐官をちらりと見てから、2人に視線を戻す。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp