第56章 七海の奪還
江藤はまるで他人事のように言うレンに殺意にも似た怒りが湧き上がる。
「…誰のせいだと思ってるんだ…。お前が不当に居座るからだろう!!他人事のように言ってんじゃねぇよ!!」
目を見開き、憎悪を露わに怒りの形相で罵った。
レンはそれを見て、すっと眉を顰める。
「その結果、七海さんが死のうが刀剣達が傷つこうがお構い無し、ですか。」
「代わりなんていくらでもいるんだよ!席が空けば誰かが補充されるだけだ。死にたくなかったなら大人しく言うことを聞けばよかったじゃないか!」
江藤は小馬鹿にしたように笑いながら、当たり前のように言い放つ。
レンはピクリと眉を動かした。
江藤は知らず知らずにレンの最も嫌いな言葉を言ったのだ。
“代わりはいくらでもいる”
かつて、レンも里でその様な扱いを受けて来た。
あの時は幼くて正否を判じることが出来なかったが、今は違う。
自分の大事な者達にそんな扱いを受けさせてなるものか。