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君に届くまで

第11章 バーベキュー


その後は、簡単に後片付けと火の始末をして、お開きとなった。

燭台切は山盛りの皿を一つ貰い、割り箸を2膳用意すると、部屋に戻った。

「ただいま。」

中では鶴丸と大倶利伽羅が起きて待っていた。

「今日は随分と長かったな。」

大倶利伽羅は少し心配そうに尋ねる。

「ごめんね。バーベキューしてたんだ。」

「2人でか?」

「いや、5人で。五虎ちゃんと乱ちゃんと鳴狐君。」

「…随分と手懐けたな。」

鶴丸は少し皮肉気に笑った。

「はは、そうだね。はい、コレ。お裾分け。
あの子はこれを全部僕が食べるつもりだと思ってるみたいだったけど。」

燭台切は思い出して、くすりと笑う。

「あの子らしいな。」

2人は早速食べてみる。

「うまいな。」

「これは中々。」

大倶利伽羅と鶴丸は一口食べて目を輝かせた。

「これ、何の肉だ?」

気になった大倶利伽羅が燭台切に尋ねた。

「鹿だよ。珍しいでしょう。しかもこれが意外にうまいんだ。」

「…鹿なんてどこから調達してきたんだ。」

何故、鹿の肉なんて珍しいものがあるのかと、彼は怪訝に思う。

「あの子が裏山で狩ってきたんだよ。」

そう言って燭台切は、レンが厨に鹿を持って来た時のことを話して聞かせた。

その事を聞いて2人は固まる。
鹿といえど野生動物。人間が道具もなく1人でどうやって狩ってくると言うのだ。

「方法を少し見せてもらったけど、これがまぁ驚くこと驚くこと…。頑丈な氷の槍を数本降らせて見せたんだ。」

「どこまでも規格外な子だな…。」

鶴丸は呆れながら言った。

「何で鹿なんだ?」

大倶利伽羅が疑問を呈す。

「山の幸で一番好きなんだって。」

「…生き物だぞ?」

「ぶふ…。山の幸…。分類分けがなってないな。」

大倶利伽羅は怪訝そうに返し、鶴丸は笑いながら答える。

「鹿もあの子にとっては食材になるんだろうね。
なんせ1人で雄鹿を1頭狩ってきちゃうんだから。」







翌朝、レンの部屋の前には、クナイホルダーと横一線の傷が入った額当てが置かれていた。

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