第56章 七海の奪還
「なんだ!これは!?」
奥脇は先日リークした映像が編集前の状態で放送されていることに驚いて激怒する。
「も、申し訳ありません。私にも何が何だかさっぱり…。」
呼び出された江藤は、身を縮こませて謝罪する。
「今すぐにこの映像を取り返せ!!」
「そ、それがネットにも流れているようでして、かなり拡散されております。テレビを止めても恐らくは無駄骨かと…。」
奥脇は、それを聞いて顔を赤くして怒り震える。
「この…!役立たずが!!では、これをどうするつもりなんだ!!」
手元にあった書類を2、3投げつけても気は鎮まらない。
「大変申し訳ございません…!申し訳ございません…!」
江藤は慄きながら、ひたすら頭を下げ続ける。
「大変です。瀬戸管理官の所に瀬戸空斗と例の審神者が来ています。」
男が一人飛び込んで来て、異常を知らせる。
「何だと?何の用で来たんだ。」
「わかりません。ただ、審神者の方は部屋からすぐ出てきてしまい、電話をしながらどこかへ行ってしまいました。」
「帰ったのか?」
「その連絡はまだ来ていません。」
報告を聞いた奥脇は額に手を当てる。
「全く厄介な女だ。大人しくしておれば良いものを。」
あの女は何をしでかすか分からない。
七海が見つかってしまえば前田の二の舞になることは目に見えている。
その時、江藤の携帯が鳴った。
「俺だ。……分かった。」
それだけ言って電話を切る。
「映像の件ですが、出所が分かりました。」
「どこだ。どこから漏れた。」
「情報管理室の新田という男です。ディスクから痕跡が見つかりました。
更には、今、あの女と連絡を取り合っていて、七海様の所に向かっているそうです。」
奥脇はそれを聞いて頭を抱えた。
「止めろ。何としても七海の元へ行かせるな!」
だが、江藤はニヤリと笑う。