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君に届くまで

第56章 七海の奪還




ドカン!!!


一際大きな音と共に、扉が前倒しに倒れていた。
外から武装した男たちが入り込んでくる。
全員、銃を構えて交戦態勢だ。
それを見て、レンは立ち上がる。

「じゃ、長谷部さんは七海さんをお願いします。」

「…まさかとは思うけど、戦う気じゃないよね?」

加州は仏頂面で問う。

「そのまさかです。」

「レン!!」

加州は目を釣り上げて怒鳴った。

「…いやいや、見てくださいよ。鴉を抑えるのに4人がかりで手いっぱいです。迎え打てる人は私と加州さんだけですよ?」

レンは今なお戦い続けている彼等を指さすが、加州は納得しない。

「俺がやるから!レンはこっち!」

そう言って、逆に七海の方を指さす。

「大丈夫です。あと少しくらいチャクラも残ってますし、影分身も使えますから。」

「い、い、か、ら、休んで。」

強く言い放つ加州に、今度はレンが仏頂面を浮かべる番だった。

「…過保護。」

「なんだって?」

聞こえていた筈なのだが、加州は敢えて聞き返す。

「まぁまぁ。しかし、主様はお怪我をされているのでしょう?なら七海様と共にいた方が宜しいかと。
それに、長谷部殿も七海様に付きっきりとなるでしょうから、誰かがいた方がきっと安心なさいますよ。」

尤もな言い分にレンは押し黙るしかない。

「よく言った。こんのすけ。」

加州は頷きながらこんのすけを後押しする。

バキュン!と言う音と共に、レンの足元に銃弾が打ち込まれた。

「いい度胸だな。お前達は今銃を向けられていることを分かっているのか?」

「あんた等こそ、いい度胸だね。我等が審神者に手を出すとはさ。俺、刀剣だよ?」

加州は静かに怒りを露わにし、抜刀すると構えを取った。

「天然理心流、無明剣。とくと味わえ…!」

言い終わるか終わらないかのうちに、手前の男達は斬り伏せられた。

「へぇ…。速いな…。」

レンはそれを見て、ぼそっと呟く。
それはしっかり加州の耳に届いていて、彼はにっと笑いながら気分良く敵を斬り伏せていく。
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