第56章 七海の奪還
「それでしたら、こちらがお役に立つかと。」
後ろから声がしてレンと加州が振り向くと、こんのすけが何かを咥えてちょこんと座っていた。
「…いつからそこに?」
「ずっと居りましたよ!!」
レンは突然こんのすけが現れたように感じて思わず聞いてしまった。
体の小さいこんのすけではレンの様子を伺うことは難しく、心配しながらも着いて回っていたのだ。
「あんまりにございます…。」
こんのすけはがっくりと項垂れてしまった。
その時、
ドカン!!!
扉の外から部屋を揺るがす程の爆発音が響いてきた。
扉を見ると、中心から外側にかけてヒビが入っている。
『ヒビが入ってるぞ!』
『よし、押せ!』
どうやら部隊が到着していたらしい。
レンは舌打ちすると、折れた肋を覆う様に自身に氷華縛をかける。
「こんのすけ、その札貸してください。」
「はい…。この札を結界に押し付けてください。」
こんのすけはレンに渡す。
「神気を札に流しながら復唱してください。
“我が力を以って、悪しき結界を破らんとす。相殺せよ。”」
「我が力を以って、悪しき結界を破らんとす。相殺せよ。」
レンは言われた通りに、押し付けた札にチャクラを流す。
すると、内側から押し戻される感覚が起こり、レンの体が僅かに後ろに下がる。
「ぐ…。」
力を入れる度に肋に響く。
レンは痛みに冷や汗を流しながら踏ん張った。