第56章 七海の奪還
「どうなってるんだ、これは…。」
五稜郭に駆けつけた特殊部隊は、身動きが出来ずにいる見張にも驚いたが、内側から凍ってびくともしない扉に驚いていた。
「完全に氷漬けになってるぞ。」
隊員の一人が扉の隙間から迫り出している氷に触れながら言った。
「チェーンソーで切り込みを入れれば開くかな?」
「いや、それよりも爆薬使った方が早い。」
扉を押して状態を確かめると、僅かにぎしり、ぎしりと音がする。
「手榴弾なら持ってるぞ。」
そう言って5、6個の爆弾を見せた。
「…お前、よく持ってきたな。そんな物。」
一人が呆れ顔で見遣る。
「何でも持って行っていいって言ってからさ。」
「それを幾つか貼り付けて吹き飛ばせばヒビくらいは入らないかな?」
別の一人の提案に全員が賛同し、準備を始める。
固まったように動けないでいる見張り2人を、人形を運ぶように移動させ、非常用ハンマーで削った穴に爆弾を詰める。
全ての爆弾のピンに紐を通した。
「いくぞ!」
「いいぞ!」
それを合図に紐を引っ張り急いでその場を離れた。
ドカン!!!
耳をつんざく様な爆発音と共に爆風が襲いかかる。手榴弾と言えど、かなりの威力だ。扉からはもうもうと煙が上がっている。
「…すごいな。最新型。」
「感心してる場合か。」
一人が言い、様子を見に駆け出す。
「ヒビが入ってるぞ!」
「よし、押せ!」
彼等は扉に体当たりするように開けはじめた。