第56章 七海の奪還
「…〜〜もう!レン!あんたは怪我人なんだよ!今すぐ本丸に逃げるべき!」
「いいえ。七海さん奪還が先です。」
加州の言葉にレンはすかさず反論を被せる。
「帰るの!」
「帰りません。」
「待った待った!まったく…。」
加州とレンの睨み合いに鶴丸が仲裁に入る。
「加州。レンが心配ならキミが付いていろ。」
「鶴丸まで!」
「まぁ、気持ちはわかるさ。だがレンの性格を考えたら折れてやった方がいいだろ。一人で突っ走っていかれるよりかはマシだ。」
「だけど!」
「それにレンの言うことにも一理あると思わないか?
鴉はレンを狙ってるし、力が数段上がっている。このまま七海の本丸へ逃げ帰っても、あいつが追って来たら袋の鼠だ。
それに七海を取り返さなけりゃ、本丸は敵の手に渡ったも同然になる。」
鶴丸の尤もな答えに加州は渋い顔で押し黙った。
「だから、俺が鴉にまわる。レンはどうにかして七海を助け出してくれ。」
そう言うと、鶴丸は抜刀して大倶利伽羅の方へ駆け出した。
「よし、行きましょうか。」
「何が”よし”なんだよ。まったく…。」
加州は深いため息をついた。