• テキストサイズ

君に届くまで

第56章 七海の奪還


すると、桜が舞い、花びらが収束して人の形をとる。
そして、花びらが弾けると、そこに長谷部が現れた。
甚振られたのか、だいぶ傷だらけになっている。

「七海様!」

「違います。」

長谷部は実体化すると同時に勢いよく駆け寄ろうとするが、レンに即答で否定される。

「あ…。レンさん…。」

明らかにがっかりと肩を落とす長谷部に、若干の苛つきを覚えながらも、レン長谷部に詰め寄った。

「緊急事態です。鴉がそこまで来ています。七海さんを助けたいんですが、結界の様なものに阻まれてしまいます。なんとかしてください。」

「あ、主が!?」

「向こうです。」

レンは、ここより反対側を指さす。

「七海様!」

駆け寄った長谷部も同じく壁に阻まれる。
長谷部は、辺りを見回しながら手がかりになるような物を探すが、糸口が無い。

「ダメですね…!破れません…!」

その間にも扉を蹴破ろうと外から打撃音が響いてくる。

長谷部は外から漂う異様な気に危機感を感じる。
打撃音からも相当な力を持った奴だと伺える。

「レンさん、刀剣を呼びましょう。」

「え?本丸に戻るってことですか?今から?」

レンは何を悠長な、と思いながら長谷部に問い返す。

「いいえ、違います。管狐を使うんです。呼びかけてみてください。」

「…は?」

レンは困惑気味に長谷部を見る。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp