第56章 七海の奪還
「道なり真っ直ぐで合っていますか?」
レンは、息一つ乱すことなく電話口で話す。
『いや、2つ先の曲がり角で一旦止まれ。』
「了解。……着きました。次は?」
『はやっ!お前さん、よく息が切れないな。
曲がり角を曲がってすぐ右手にドアがないか?』
「ありました。」
『隠し扉なんだ。ドアの取っ手を持ってゆっくり斜め右上に引き上げる。』
レンは指示通りに取っ手を引き上げると、ドアが半分程迫り上がり、薄暗い中に更に通路が現れた。
『真っ直ぐ行けば階段に突き当たる筈だ。3階から上に行くにはこの通路を使うしかない。』
「わかりました。」
駆けて行くと、幾らもしないうちに大きな螺旋階段に突き当たった。
下を覗くとかなりの高さがある。
しかも、薄ら嫌な気が立ち込めている。
「5階ですよね?」
『そうだ。ここからは監視カメラが少なくなるから追い切れなくなる。』
「わかりました。わからなかったらまた電話します。」
『わかった。』
電話をしまうと、レンは平地を走るように一気に駆け上がった。
階段を上り切る少し手前で身を潜めて様子を伺う。
ー人の気配がする…。
階段手前からそっと覗くと、華美な門構えの扉の両脇に、軍服姿の見張りが2人立っていて、常に警戒しているのが見えた。
レンは一度引っ込んで思案する。
彼等は銃を携帯しているようだった。
本丸から離れている今、派手にチャクラを使えない。
消費量をなるべく抑えなければ…。