第56章 七海の奪還
「…空斗。これは何だ。」
「これが奥脇が命じた接待さ。被害に遭った女性全員の調書も取れてるぜ。立派な売春法違反だ。
この映像は、いつか調べてくれる人が現れた時に渡そうと、危険を覚悟で被害女性の一人が撮ってくれたのさ。」
瀬戸は腹立たし気に言い放つ。
「叔父さんは、これを見てもまだ、奥脇を庇うのか?それともまだ悪事の証拠が必要か?」
瀬戸の冷淡な言いように、補佐官は眉を顰めながらも納得をした。
「必要無い。これだけでも十分に事足りる。奥脇統括は免職処分とする。」
瀬戸はそれを聞いてほっと胸を撫で下ろした。
「補佐官!大変です!」
その時、受付をしていた女性が慌てた様子で飛び込んできた。
「五芒星の塔、北5階が不法占拠されているようです。」
女性はそう言った後、ちらりと瀬戸を見ながら、
「犯人は先程の女性です。」
と報告する。
瀬戸は思わず頭を抱えた。
「あの阿呆が!」
「それと、鴉が出たようです。このままでは死人が出かねません…!」
瀬戸は顔色を変えて部屋を飛び出した。