第54章 政府の企み ーその2ー
「…いつまで流すつもりなんですかね、これ…。」
レンは遠い目でテレビを眺める。
「なんだよ。大手柄だろ?形勢逆転したんだぜ?」
瀬戸は怪訝な顔でレンを見る。
「そうですね。それについては感謝しています…。」
「煮え切らねぇな。」
「たぶんね、目立つのが嫌なんだと思うよ。」
噛み合わない会話に燭台切がレンの隣から補足を加える。
「え?お前そんな繊細な神経持ってたのか。」
瀬戸は燭台切の言葉に驚いてレンを見る。
「…失礼極まりないですね。今まで目立たずひっそり生活してきたんですよ。そう思うのは当然じゃないですか。」
レンは半眼で瀬戸を見遣る。
「いや、どんな生活だよ。それは。」
瀬戸は、どこか呆れたようにそう言った後、
「まぁ、いいや。とにかく、次だ。」
と言って膝を叩く。
「連絡が来たんですか?」
レンの問いに瀬戸は難しい顔をする。
「それが来ないんだ。奥脇の処遇を決めているのか、或いは庇い立てしているのか。だが、こっちももう待っちゃいらんねぇんだ。」
「それって、七海さんの安全が確保出来てないってことですか?」
レンは眉を顰めた。
「親父によれば、やってくれているってことだったけどな…。こうも返事が遅いとこ見るとどうなんだろうな。」
「…1人で行くんですか?」
レンが静かに問うと、瀬戸は頷いた。
「明日、直接五稜郭へ行く。それでダメだったら、正式に国の許可を取るまでだ。」
「私も行きます。」
「いや、お前が行ったら…」
「私も行きます。」
レンは瀬戸の言葉を遮り同じ言葉を繰り返す。
「…頑固だな、お前。」
瀬戸は、やれやれと肩を竦め、聞いていた燭台切は苦笑いを浮かべた。