第54章 政府の企み ーその2ー
「全身像無いんですか?上半身だけだとよくわかりません。」
「…かなり有名な女優なんだけどな。」
新田は微妙な顔でレンを見た後、カチリ、カチリ、と操作しながら全身像を表示させた。
色白で、大きな猫目で、口が大きく、顔が小さい。細身で背が低めで、首が長く、藍のロングドレスがよく映える。
レンは、よくよく女性の特徴を覚えると、変化の術を発動する。
「おぉ!紺野遥だ!」
新田は大喜びだ。
「…何なんですかね、これ。」
「待て、しゃべるな。幻が崩れる。そのまま。そのまま。」
レンの呟きに、新田は必死で制止をしながら彼女の周りをぐるぐると回って遠慮なくじろじろと見る。
レンは新田の気が済むのをひたすら待ち続けた。