第54章 政府の企み ーその2ー
レンは唖然とするしかなかった。
これでレンの顔は完全に割れてしまった。きっと何をするにも簡単に紐付けられてしまうだろう。
八方塞がりだ。
「…レン。」
加州はそっとレンの手を握る。
「…瀬戸さん。何か対抗策ありますか?」
レンは唖然としながらも瀬戸に問いかける。
瀬戸は頭が真っ白で何も答えられず、静かに首を横に振る。
レンはそれを見て徐に立ち上がった。
「…七海さんを、奪還しに行きます。」
「レン!?」
加州は驚いて彼女を見上げた。
「対抗策がないのなら、七海さんを取り返したほうがいい。それから私がここを出れば、七海さんは無関係を通せる。」
「ダメだよ!危険すぎるよ!」
「今この状況の方が危険だと私は思います。誰もこの本丸を守れる人がいないんですよ?」
レンは言いながら、段々と落ち着きはじめていた。
「対抗策が何も無い以上、七海さんを奪還するのは急務だと思われます。それも早いうちに手を打った方がいい。
瀬戸さん、七海さんの監禁場所に心当たりありますか?」
「お前、本当に行く気か?」
瀬戸は、呆然とレンを見上げる。
「勿論です。私に出来ることは武力行使のみです。この国の決まりや常識なんて分かりませんから。だったら出来ることをやるまでです。」
そう言って、刀剣達を見回した。
そしてある人に目を止めると、つかつかと歩み寄る。