第54章 政府の企み ーその2ー
「何の理由があって強制連行なのよ!!」
レンが七海の部屋が見える所まで着くと、彼女は拘束されながらも身を捩り、抵抗を試みていた。
「我が主は何の咎もありません!連行される謂れはない筈です!!」
長谷部も拘束されながらも必死で言い募る。
だが、
「本当に咎が無いのでしょうか?わたくし達は再三、七海様に連絡を差し上げています。それを全て無視し、政府を蔑ろにしたのはあなた方ではありませんか。」
江藤が手練を引き連れて先頭に立っていた。
やはりか、とレンは顔を顰めた。
ーこうなったら全て蹴散らしてやる。
レンはチャクラを練ると、印を組もうと両手を合わせた。
「……!」
けれど、両側から腕を取られて印が解けてしまう。
手の主を見ると加州と大和守だった。
「離してください。」
レンは制止を振り解こうと腕に力を込める。
「ダメ。行かせない。」
「これは七海さんの意思でもあるんだ。」
「瀬戸さんも、鶯丸と小狐丸に止められてるよ。」
加州と大和守は交互に言い募る。
「どういうことですか。七海さんは今止めないと攫われてしまうんですよ。それが七海さんの意思だって言うんですか。」
レンは苛々としながら、加州と大和守の手を振り解こうともがくが、2人も必死にレンの腕を離すまいと制止する。
「そうだ。それが七海の意思だ。」
突然違う誰かの声が割り込んできた。
レンが声の出所に目を向けると、骨喰が悲しそうに廊下の先に立っていた。隣には同じく悲しそうな表情の鯰尾もいる。
「とにかく来てください。」
鯰尾はそう言って踵を返した。骨喰もそれに続く。
「レン、行こう。」
「ね?ここは引いて。」
加州と大和守はたたみかける様にレンに言い募る。
レンは大きく息をつき、加州達に従った。