第54章 政府の企み ーその2ー
「わからん。けど、お前の言う通り変だと思ってな。
俺は慣れてるから何とも思わないが。普通、こんな訳わからん所に拘束されたら不安に思うんじゃないかと思ってな。」
ここは亜空間だ。
現世とは隔絶された世界なのだ。
一歩間違えば、永遠に隔離されて現世には二度と戻れなくなることだってあり得る。
そんな場所に拘束されて不安を抱かずにいられるものだろうか。
「…何らかの助かる手段があると踏んでいるからこその落ち着きよう、ってことですか。」
「わからんがな。」
レンと瀬戸は、嫌な予感を抱えながら俯いた。
その時、どたどたどた!とこちらに走ってくる足音が聞こえてくる。
「瀬戸さん!七海さんが!!」
バタン!と勢いよく障子を開いて報告してきたのは、物吉だった。
瀬戸はそれを聞いて、色めき立つ。
「七海が何だ!!」
「政府に強制連行されそうです!!」
瀬戸は聞くや否や、部屋を飛び出した。
レンは瀬戸の知り合いという捕虜を振り返ると、ニタリと笑っている。
「知っていたのか。」
レンは内心の苦い思いを表に出すことなく、淡々と問う。
「明日になればもっと面白いことになってるかもな。いや、もしかしたら今日にでも大騒ぎかもな。」
レンは舌打ちすると、無人になることを気にも止めずに七海の元へと駆け出した。