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君に届くまで

第54章 政府の企み ーその2ー



「余程死にたいらしいな。」

レンは一本の氷柱槍を形成する。
それを手に持つと、大きく振りかぶった。

「待って!!」

燭台切はパシっとレンの手を掴み、攻撃を止める。
レンは無表情だが殺気の籠ったままの目で燭台切を見上げた。
自分達には一度も向けたことのない目だった。

「…何で止めるんですか?」

「君に殺らせはしない…!」

燭台切はレンを止めたい一心で必死にレンの手をぎゅっと掴む。

「お願いだ。君には無闇に人を殺めてほしくないんだ。」

レンはそれを聞いて、手の力を抜くと大きく息を吐いて視線を外す。

「甘い、と思いますよ。私は。それに今更ですよ。」

レンは困った様に燭台切に微笑んだ。

「それでも、だ。」

「わかりました。尋問は終わりにします。」

燭台切はそれを聞いてほっと息をついた。

レンは生成した槍をごく自然に昏倒している男の側に突き刺した。
すると、びくんと大きく体が跳ねる。
レンはニヤリと嗤った。

「お目覚めか。なら遠慮なく枷をさせてもらう。」

そう言うと、氷華縛を発動させる。

「ひっ…!」

悲鳴と共に見る間にほぼ全身が氷に包まれた。
男は氷を破ろうともがくも、びくともしない。

「大人しくしてないと死ぬぞ。」

その一言で男の動きはぴくりと止まる。

「随分甘い奴だな。もう終わりか?」

隣で胡座をかいている男は挑発する。
レンはそれには答えることなく黙って背を向け、出ていく。
男は嘲笑うかの様に声を立てて笑った。

「…君は何をしたいんだい?」

その場に留まった燭台切は問うも、男はただ笑っているだけだった。
燭台切は男に不気味さを感じながらも部屋を後にした。
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