第10章 資材集め ーその2ー
「もう限界ですね。」
お付きの鳴狐が言うように、2人は息も切れ切れで座り込んでいる。体力の限界だろう。今日はここまでだろうな。
成果は6戦4勝。まずまずの結果だ。
五虎退1人より遥かに勝率が上がった。麻袋いっぱいに資材が詰め込まれている。
「では、帰りますか。歩けますか?」
「はい、がんばって歩きます…!」
五虎退は返事をすると立ち上がろうとするが、足が小鹿の様にガクガクと揺れ、ふらふらと真面に立てない様子。
レンは麻袋の口を縛り、資材を抱えると、五虎退の側にしゃがみ込み、背を向ける。
「はい、おぶさってください。」
「えぇ!?いや、あの、でも…!」
五虎退は仰天して目を白黒させる。
「いいから。はい。」
レンは尚も五虎退を促し、背負う。それから鳴狐を見ると、
「あなたは歩いてくださいね。」
と言ってすたすたと先に歩いて行ってしまう。
正直、少しだけ期待していたお付きの鳴狐はガッカリとした。
まぁ、一抱えはある資材を持ち五虎退を背負っては、鳴狐を背負うのは不可能だろう。
鳴狐は徐に立ち上がると、くすりと笑みを漏らした。
これには、お供が驚いた。
「鳴狐が笑うなんて、なんて珍しい…。」
「初めて、楽しかった。…凄くワクワクした。」
これまた珍しく喋ったことにお供は目を見開いて驚いた。
「…あの人間を気に入ったのですか?」
お供は不安そうに鳴狐に尋ねる。
「あの人は、大丈夫。」
お供はしゅん、と耳を垂れて落ち込んでしまった。
鳴狐はお供の頭を優しく撫でると、困った様に笑った。
鳴狐がゆっくりと部屋まで歩いて行くと、レンが資材を居間の端に積み上げているところだった。
「ねぇ、ボク達の部屋に資材置いておいていいの?」
乱がレンに話しかける。