第54章 政府の企み ーその2ー
『何だ?はっきりしねぇな。お前の見立ては違うのか?』
レンの言い様に、瀬戸は首を傾げる。
「いえ。私も奥脇だと見ています。それはいいんですが…。
なんかこう…、手応えが無い気がして。」
状況を見る限り、撤退は妥当だとレンも思う。
奴等にしてみれば多勢に無勢になるのだろう。
けれど、
「奴等の諦めが、やけに早かったような気がして…。」
そう、あっさり引いていったように感じてしまうのだ。
まるで空振りしたような気分だ。
そう思うと、何となく気持ちが落ち着かない。
ぞわぞわと嫌な感覚がレンを包みはじめる。
『まぁ、それだけお前が強かったってことじゃねえのか?何にせよ、お前がいる時で良かったぜ。』
瀬戸は電話越しにほぅ、と大きく息をついた。
ー気のせい、なのだろうか…。
レンは肯定も反論も出来ずに話の流れに乗る。
「そうですね。七海さんが無事で何よりです。瀬戸さんも手が空いてる時に一度来ますか?」
『そうだな。現場を見ておきたいから、ひと段落したらそっち行くわ。』
「わかりました。」
『じゃあ、後でな。』
そう言って電話が切れた時、七海の部屋の前に着く。