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君に届くまで

第53章 疑惑


それを聞いて、鶴丸は不安気にレンを見る。

ーもしかして、見立てが間違っていたのだろうか。
 俺達が1人の時を狙われているなんて…。
 いや、でも…。

鶴丸が揺れていると、今度はレンが鶴丸を正視する。

「江藤から何を言われたんですか?」

鶴丸は黙って俯いた。

ー言っていいものだろうか…。
 禍ツ神に、俺達刀剣に殺されたなどと。
 レンのことだから、たぶん動じはしないだろうと思う。

 けれど、怖い。

 出来れば知られたくない。
 俺達をそんな禍々しいものだと思ってほしくない。


鶴丸がだんまりを決め込んでいると思ったのだろうか。
レンは、当てましょうか、と言い出した。

「そうですね…。私を差し出せばあなた方の自由を許す、とか?」

鶴丸はそれを聞いて、ムッとする。

「…バカにしてるのか?」

「違いますか…。じゃあ、私が裏切り者になるから危ないと言われた?」

鶴丸は、変わらず嫌そうな顔だ。

「じゃあ、七海さんが裏切り者になるから危ない、ですか?」

鶴丸の様子が少し変わる。

「七海さんのお姉さんがあなた方の元主だったことに関係していそうですね。」

鶴丸はそれを聞いていよいよ顔を顰めた。

「…どこで聞いたんだ。」

「瀬戸さんから掻い摘んで聞きました。
二代目と三代目審神者は禍ツ神に嬲り殺された、というのは前々から聞いていましたし。」

鶴丸は驚きに目を瞠る。
レンが知っていたとは初耳だ。

「何で…。誰から聞いたんだ?」

「燭台切からです。あと、加州さんも言ってたかな。」

「…それを聞いて、何も思わなかったのか?」

鶴丸は恐々と尋ねる。

「何をです?」

「その…。人を殺しかねない俺達が悍ましくないのか?」

それを聞いたレンは、何故か呆れたような顔付きになった。

「それを言うなら、私も人を殺してますけど。それも数え切れない程。大体、殺し殺されなんてそう珍しい話でもないじゃないですか。」

いや、普通はないだろう、と思ったが、言葉が出て来ない。
それよりも、レンが心底何とも思っていないことに安堵して気が抜けてしまった。

「で、何を言われたんですか?」

「それが…」

レンがもう一度尋ねると、鶴丸は漸く電話の内容を話し始めた。
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