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君に届くまで

第53章 疑惑



「奥脇、ですか…。そう言えば私、奥脇の顔を知らないんですよね。家族構成とかも。」

レンは奥脇の周囲を探る手伝いはしてきたが、本人や本人にまつわることを殆ど知らない。

「そう言えば、説明したことなかったな。」

瀬戸は煙草を咥えながら、スマホで奥脇の写真を検索する。

「これが奥脇だ。」

そう言って、自身のスマホをレンに差し出した。
レンはそれを受け取ると、画面をまじまじと見る。

「この顔…、どこかで…。」

そう呟いて考え込んだ。

見たのは最近だった気がする。
それもこちらに来てから…

「そうか。この人、前田と一緒に視察に来てました。」

「お前んとこにか?」

「はい。目的は私だったようです。焼き討ちの前日でした。」

「死ぬのも厭わないってか…。」

それを聞いた瀬戸は顔を顰めた。

「ちょっと気になってることを聞いてもいいですか?」

レンは気にすることなく、話を変える。

「…お前、ちっとも気にしてねぇのか。」

「何がです?」

レンは何のことかと首を捻る。

「殺されかけたことだよ。」

「あー…。まぁ、割と日常茶飯事だったんであんまり気になりません。」

平然と言うレンに、瀬戸は驚き目を瞠る。

「日常茶飯事って…、おま…!どういうことだ!?」

「ここに来る前の生活が概ねそうだったってだけの話です。
それより、聞いてもいいですか?」

レンは面倒そうに先を促す。

「はぁぁぁ。まぁ、いいわ。今度聞かせろ。で、何だ?」

「七海さんのお姉さんの話なんですが、亡くなったって聞きました。それについて詳しく聞きたいんですが。」

七海は姉妹で審神者にさせられた、と言っていた。けれど亡くなっている。それがどうにも引っかかる。

だが、その話題を出した途端、瀬戸の顔が曇った。
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