第53章 疑惑
「この番号、誰のか分かりますか?」
レンは、急にこの番号の主が気になりだした。誰なのかはっきりさせておきたい。
瀬戸が自身のスマホから電話帳を開き、番号を検索してみたが、該当する番号は無かった。
「無いな…。」
「これ、どうにかして特定出来ませんかね。」
「それより、電話とったやつに聞いて回ればいいじゃねぇか。」
「…う〜ん…。何となくですが、言わない気がするんです。」
レンは、今日の鶴丸の様子を思い出し、腕を組む。
「…随分と曖昧だな。」
瀬戸は困ったように頬を掻いた。
「今日、何となく様子が可笑しかったんですよ。挙動不審っていうか、なんていうか…。」
「誰の様子が可笑しかったんだ?」
「特に鶴丸さん、今日の近侍係です。
現代に来る前も、鶴丸さん、加州さん、厚、乱、伽羅さんが部屋にいて、何か話し合っていたみたいなかんじで…。何となく、落ち込んでいたような感じでした。」
「…ん?待てよ?丁度、今朝来てるぞ。9時50分頃だ。」
瀬戸は、レンの着信履歴の一番上を見る。
どれどれ、とレンは瀬戸の隣からスマホを覗き込んだ。
「しかも、電話に出てるな。」
「それで何も言ってこないって、何か変じゃないですか?」
レンは益々不審に思う。
「…う〜ん…。まぁ、変と言えば変、だな。」
瀬戸は歯切れ悪く答えながら、通話履歴を見た。
だが、いくら見ていたところで答えは出てこない。
「…しゃーねぇな。俺が調べてみるわ。」
「どうやってですか?」
「それは、あれだよ。警察の権限ってやつよ。」
と、瀬戸はドヤ顔で答えた。