第53章 疑惑
「瀬戸さん。」
「おう、着いたか。じゃ今日は…」
「その前に、ちょっと気になることがあって。これを見てください。」
そう言ってレンはスマホを差し出す。
「最近、頻繁に同じ番号から電話が入っているんです。けど、登録されていないので誰の番号なのかわからなくて。誰か用があったんですかね?」
レンの番号は瀬戸をはじめ極限られた者しか知らない上、登録もされていない。
もし、かけてくるとしたら瀬戸の関係者しかいないのだ。
瀬戸はスマホを受け取ると、着信履歴を見る。
「そうだな…。しかもこれ、電話に出てるじゃねぇか。」
「え?そうなんですか?」
「いや、お前のスマホだろ?」
「殆ど近侍係に預けてるんで。けど、誰も電話に出たことを言ってませんでした。」
レンは言いながら変だな、と思いはじめる。
彼等は割と素直でお喋りだと思う。いつもと変わったことがあったなら言うはずなのだが、誰も一言も口にしていない。