• テキストサイズ

君に届くまで

第53章 疑惑



「鶴丸!」

加州は部屋に飛び込むと鶴丸を呼ぶ。

「ここにいる。落ち着け。」

鶴丸は、加州を宥める。

「七海さんのお姉さん、禍ツ神に殺されたって。鯰尾から聞いた。」

加州は息を切らせて座り込んだ。余程急いで帰ってきたと見える。

「俺は、”君達の元主だったみたいだよ”と鶯丸から聞いた…。」

鶴丸は眉根を寄せて俯いた。

「そんな…。」


「鶴丸!」

厚、乱、大倶利伽羅も丁度戻ってきた。

「七海さんのお姉さん、禍ツ神に殺されたって!」

「…あぁ、加州から今聞いた。」

「それと、俺達の元主だったんだって…。」

鶴丸と加州は難しい顔を3人に向けて答える。
それを聞いた彼等は息を呑んで、座り込んだ。

「決まりだな…。今回は江藤の言う通り、ここを出た方がいいかもしれない。」

「でも、出てどこへ行く?」

鶴丸の言葉に厚が不安気に尋ねる。


「遅くなりました。急いで瀬戸さんと合流しましょう。」

鶴丸達が話しているところにレンが部屋に入ってきて、彼等は思わず息を詰めた。
レンはその様子を見て、怪訝に思う。

「何してるんですか?」

「い、いや。何でもない。さ、行こうか。」

鶴丸は吃りながらも、慌てて立ち上がりレンを外へ促す。
レンは背を押す鶴丸の向こう側に、俯いて座る彼等をちらりと見てから部屋を後にした。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp