第53章 疑惑
レンは間借りしていた部屋で、彼女を待っていた鶴丸からスマホを受け取ると、瀬戸に電話をかける。
「もしもし、レンです。」
『おう、どした?』
「七海さんから申請の許可が下りたと聞いたので、今から封印作業をしてからそちらに行きます。」
『わかった。んじゃ、こっちに着いたらまた連絡くれ。迎えをよこすから。』
「わかりました。」
レンはそう言って電話を切ると、そのまま鶴丸にスマホを預ける。
「今聞いていたと思いますが、本丸封印の許可が下りたので、先に封印作業をしてきます。ここで待っていてもらえますか?」
レンが鶴丸を見ると、何故か彼は神妙な面持ちで彼女を見ている。
「鶴丸さん?聞いてます?」
レンがそう尋ねると、ハッとしたように取り繕って笑顔を向ける。
「あ、あぁ。わかった…。」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。何でもない。」
「…じゃあ、ちょっと行ってきます。」
レンは不思議そうに鶴丸を見ながら部屋を出る。
鶴丸は作り笑いを浮かべながら手を振った。